使徒トマスは、インドへ伝道に行き、達磨(トマ)とよばれ、インドで殉教したと伝えられています。実際インドでは、すでに二世紀にはキリスト教徒の数もかなりのものになり、三世紀にはキリスト教の団体もありました。
トマス行伝は、デドモ、ユダと呼ばれた使徒トマスのインド伝道について書いてあります。その内容がトマスらしくておもしろいので、要約いたします。
~エルサレムで使徒たちは、くじ引きでそれぞれの宣教地を決めました。ユダと呼ばれるトマスは、インドに行くことになります。
そこで、ちょうど宮殿を造る大工を探しに来たインド商人ハバンに連れられて、トマスは大工としてインドに渡ります。
トマスがインドに着くと、インドの国王グンダファルに宮殿を建てるように言われ、その資金をもらいます。
しかし、トマスは、村や町を巡り歩き、貧しい人々に仕え、苦しんでいる人に安息を与え、「王のものは王に与えられるであろう。そして多くの者は安息を得る」と言って、宮殿建設の仕事はしていませんでした。トマスは、王に「宮殿は建ちました。あとは屋根だけです」と書き送りました。
さらに、王は、彼に金銀を送りました。しかし、王の友人は、「宮殿は建てられていないし、トマスは、町や村を巡り歩き、貧しい人々に与え、彼らに新しい神を教え、病人を癒し、悪霊を追い出している」と語ります。
怒った王は、トマスと商人を牢に入れ、死刑にしようとします。
その頃、王の兄弟ガドが病気になり、死にました。天使はガドを天国に運び、立派な宮殿を見せました。それは国王のためにトマスが建てた天の宮殿だということがわかりました。ガドは、すべての財産を払うから、天国の宮殿を私に下さいと王に言うために、地上に戻ることを天使に望みます。
天使たちはガドの魂を地上に返し、埋葬の支度をしている者たちの前でガドは生き返ります。
王はそれを聞くと、ガドのもとに行き、驚きのあまり話しかけることもできませんでした。しかし、ガドは「あなたが天に持っている宮殿を私に売ってください」と言うのでした。ガドが見た天の宮殿のことを王は聞いて、トマスが建てていた真実の宮殿を知ります。王は、急いでトマスと商人を釈放し、さらにガドとともにトマスの弟子となり、キリストを信じ洗礼を受けたのでした。~トマス伝より抜粋要約
インドの王として記録されているグンダファルという人物が、近年発掘された当時の貨幣によって実在していたことが判明しています。王様の名前などから、あながち作り話ではないことがわかります。
聖トマスの墓は、インド、チェンナイ(旧マドラス)にあるサン・トメ教会(聖トマスのバシリカ)の地下にあります。トマスはインドで伝道をし、キリスト教はインドに広まりました。伝説では、彼はAD72年に殉教したそうです。
われわれも、トマスのように天に宮殿を建てたいものです。
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http://www2.biglobe.ne.jp/remnant/bukkyokirisuto02.htm