
https://news.yahoo.co.jp/articles/3f7f1e93eafaa602724655ff6ed08a0b77a19bf1/images/000
中国の貿易黒字が史上初めて1兆ドルを突破した。だが、その裏で各地に広がっているのは、売れ残ったEVが野ざらしにされる「墓場」の光景だ。国内で消費できないモノを、採算度外視で作り続け、海外へ押し出す――。この歪んだ成長モデルに、習近平国家主席自身が強い危機感を示している。数字の裏に隠された中国経済の構造的な病を検証する。
【画像】習近平が激怒した「中国1兆ドルの貿易黒字」の怖すぎる中身
中国の貿易黒字が、史上初めて1兆ドルに
広大な平原に、奇妙な光景が広がっている。
雑草が生い茂る広大な土地を、数千、数万台もの真新しい電気自動車が埋め尽くしている。一度も公道を走ったことのない車たちが、誰に乗られることもなく、風雨にさらされ、静かに塗装を剥がれさせていく。ボンネットには土埃が積もり、タイヤは地面に沈み込んでいる。
これは映画のセットでもなければ、文明が滅んだ後の未来の光景でもない。現在の中国各地で見られる「EV(電気自動車)の墓場」と呼ばれる場所だ。
作りすぎたのである。誰も買わない車を、誰も乗らない車を…ただひたすらに作り続けた結果が、原野に広がる鉄の残骸である。
そして12月、世界を驚かせるニュースが飛び込んできた。中国の貿易黒字が史上初めて1兆ドル、日本円にして約150兆円を突破したというのである。
喜びの声どころか、激しい怒りの言葉が伝えられた
150兆円。
途方もない金額だ。人類の歴史上、これほど巨額の富を1年間で積み上げた国は存在しない。普通に考えれば、国のリーダーは万歳をして喜ぶはずだ。「我が国の経済は絶好調だ」「世界が我々の製品を求めている」と胸を張る場面だろう。
喜びの声どころか、激しい怒りの言葉が伝えられたのだ。習近平氏が地方政府や企業に対して放った「怒り」は、次のように報じられている。代表的な報道を紹介しよう。
「『すべての計画は事実に基づいたものでなければならず、誇張のない堅実で本物の成長を目指し、高品質で持続可能な発展を促進しなければならない』と、習近平氏は先週述べたことが、日曜日に発行された共産党の機関紙『人民日報』の報道で明らかになった。
『現実を無視して無謀に行動し、過大な要求を押し付け、あるいは慎重な検討なしに資源を投入する者は、厳しく責任を問われなければならない』と、習近平氏は中央経済工作会議で述べた」(インドの有力紙・エコノミック・タイムズ「Economic Times, "Xi Jinping criticises inflated GDP figures, warns against 'reckless' projects"」12月15日)
つまり、地方政府のウソ統計をやめろ!と習近平自身が言っている。
そりゃそうだ。
主な理由は以下の3点に集約されます。
1. 「需要なき成長」という構造的な病
1兆ドルもの黒字が出た最大の理由は、輸出が好調だったからだけではなく、「国内でモノが売れず、輸入が極端に低迷しているから」です。
• 内需の崩壊: 不動産不況や若者の失業率高止まりにより、中国国内の消費者がお金を使いません。
• 在庫の押し出し: 国内で売れ残った電気自動車(EV)や鉄鋼などが、採算を度外視して海外へ格安で「投げ売り」に近い形で輸出されています。
• EVの墓場: 各地で売れ残った新車が野ざらしにされている光景が報じられており、習近平氏はこの「実態を伴わない数字だけの成長」が経済の健全性を損なうことを危惧しています。
2. 国際的な孤立と「中国包囲網」の激化
この巨額の黒字は、世界中の国々から「中国が自国の不況を輸出している」と見なされる原因になります。
• トランプ政権との緊張: 米国の関税引き上げを回避するために他の市場へ輸出を振り向けた結果、今度は欧州(EU)や東南アジア、さらにはアフリカ諸国からも反発を買っています。
• 制裁のリスク: フランスのマクロン大統領などが対抗関税を示唆するなど、この黒字額が中国に対するさらなる経済制裁の「口実」を与えてしまっています。
3. 「虚偽の報告」への不信感
習近平氏は以前から、地方政府や企業が中央からの評価を気にして数字を「水増し」したり、無謀なプロジェクトを強行したりすることを厳しく批判しています。
• 質の低いGDP: 2025年末の中央経済工作会議でも、実態を伴わない「数字合わせの成長(GDP追求)」を叱責し、「すべての計画は事実に基かなければならない」と警告しています。
• 統計の不整合: 輸出額と、実際に国内に入ってくる現金の動きが一致しない「統計上の不整合」も指摘されており、資金洗浄や資本逃避が隠されている可能性についても神経を尖らせています。
習近平氏にとって、1兆ドルの黒字は「強さの証」ではなく、「内需振興に失敗し、世界を敵に回し、実体経済がボロボロであることの裏返し」に見えているといえます。

https://www.cnn.com/2025/12/08/business/video/ebof-trump-economy-gene-seroka-china-trade-surplus
この動画では、中国の貿易黒字が1兆ドルを超えた背景にある米中貿易摩擦や、中国政府が内需拡大を優先事項に掲げざるを得ない現状が解説されています。
PS.いや、もっと酷いことになっていますね。
