神の至聖所 ~聖書とキリストの啓示より~

 神の臨在(至聖所)の中で開かれる聖書の啓示を紹介します。聖書の日本語訳に疑問を持ったのを切掛けに、プロテスタント、カトリック、ユダヤ教などに学び、終末預言や聖書解釈の記事も載せていきます。栄光在主!

トマスの福音書11、12 ~イエスの弟ヤコブと聖霊降臨

継続してトマスの福音書を訳し、解説しています。
11節
S a i d-the-disciples to -JS11 this: we--know that you(sg)-will-go from-our-hand. Who is -he*who-will-become -great, upover-us?
12節...
* S aid-JS12 to-them this: the-place you(pl)-have-come there, you(pl)-will-be-going up to-Jacob the-righteous, the-one has- -the-sky and-the-earth come-into-being because-of-him.

11直訳

JS11弟子たちがイエスに言った。「あなたがわたしたちの手から、❶行かれることをわたしたちは知っています。だれがわたしたちの上で❷偉大になるのでしょうか。」

12直訳
JS12イエスは彼らにこう言われた。「あなたがたが来た❸そこの場所で、❹正しい人ヤコブに行くだろう。彼は❺空と地を彼のゆえに存在させる。」

 弟子たちは、❶イエスが去ってしまうことを知っていました。これはイエス自身が十字架に架けられる前に言っていたことから、❷だれが次のリーダーになるのですかと質問をするのは至極当然であったでしょう。しかし、この箇所を読んだ人は、イエスの回答に驚くでしょう。この箇所は、トマスの福音書を正典に加えようか迷う際の障壁となった節でもあると思います。なぜならば、イエスは、❹実弟ヤコブを自ら後継者として指名し、彼を❺「空と地の存在意義である」としているからです。この後、確かに歴史上、ヤコブはイエスの弟としてエルサレム教会の長となったのです。しかし、四福音書や使徒行伝、書簡には、この12節のようなイエスの言葉は記載されていません。
 JS12「あなたがたが来た❸そこの場所で、❹正しい人ヤコブに行くだろう。彼は❺空と地を彼のゆえに存在させる。」この言葉は、直訳のために理解しづらいものです。「あなたがたが来た❸そこの場所」とは、弟子たちが最終的に集った❸エルサレムを指すと考えられます。使徒行伝には「❸エルサレムを離れないで、私が父から受けた約束を待ちなさい」(使徒行伝1:4)との似通った聖句があります。

「❸そこの場所で❹正しい人ヤコブに行くだろう。」とは、つまりイエスの十字架刑と復活の後、弟子たちに「❸エルサレム聖霊を待ち望め」と命じた内容と同じです。そのとりまとめとして、❹ヤコブの下に❸エルサレムに集まるようにとイエスは言われていたのでしょう。それはペンテコステの日に11使徒を含む120名ほどの弟子たちが聖霊を受けるために、ヤコブがキーパーソンであったことを暗示します。「彼は❺空と地を彼のゆえに存在させる」。これは、聖霊降臨の鍵となるヤコブには、❺空と地=大気圏と地球を存在させる理由があるということでしょう。

エルサレムを離れないで、私が父から受けた約束を待ちなさい」(使徒行伝1:4)の聖句を参考にすると、ヤコブは、弟子たちをエルサレムの二階屋に集め、聖霊待望を祈らせるためのまとめ役であったということでしょう。しかし、使徒行伝での弟子たちの集会では、いつも年長のペテロがその場を取り仕切っていたように書いてあります。
 また、❹ヤコブが❺空と地の存在理由であるとは、持ち上げすぎのようにも感じます。

使徒行伝1:14には、「この人たちは、婦人たちやイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちとともに、みな心を合わせ、祈りに専念していた。」とあります。聖霊降臨の前の祈りについて、母マリヤやイエスの兄弟たちが記事に出てきますが、祈りの導き手として聖家族が大切な役を担っていたのかもしれません。その中でイエス実弟ヤコブ聖霊降臨までの祈りを導く大切な教えを受けていた可能性もあります。

彼が地球の存在理由ではなく、このペンテコステ聖霊降臨がなければ、❺地球の存在意義はなくなると言っているようにも見とれます。

ヤコブはこの大切なキリスト教史に残る一大事「聖霊降臨」の鍵となる存在だと言っているのでしょう。

過ぎ越しの祭りから五旬節まで50日あります。イエスの復活から弟子たちに現れた期間が40日あり、イエスの昇天から五旬節までが10日間です。エルサレムの2階屋で、ヤコブの下にこの10日間、断食と祈りをした120名の弟子たちが、あの人類史上最初の大規模な聖霊の満たしを体験するのです。そして、異邦人を含めた世界宣教が行われていきました。もし、この一大事がなければ、この❺空と地(地球)は滅ぼされ、御霊の働きのない暗黒の世界はそのまま継続されることはなかったかもしれません。
 聖霊の働きにより、イエスの言葉や精神は現代まで伝えられ、その福音は地の果てまで宣べ伝えられます。それまでこの世界は滅びずに保たれているということなのでしょう。聖霊降臨と御国の福音は、❺この地球の存亡の鍵となっているのです。

意訳します。

11意訳
JS11弟子たちがイエスに言った。「主よ、あなたがわたしたちの手から去って行かれることをわたしたちは知っています。その後は、だれがわたしたちの中でリーダーになるのでしょうか。」

12意訳
JS12イエスは彼らにこう言われた。「あなたがたが来たところ、つまりエルサレムで義人ヤコブのところに行くように。彼のところには、空と地の存在理由(地球を滅ぼさない理由)がある。(それは、エルサレムの二階屋で、ヤコブのもとで約束の聖霊降臨を待ち望むことです)」

※イエスの弟 ヤコブのイコン 

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ヤコブは、少なくともエルサレム使徒会議(48年頃)までにはペテロに代わって、教団の最高指導者でした。会議では、結論をまとめる役割を果たしています(使徒行伝15:13-21)。伝承によればエルサレム教会の初代総主教であり、文献に名前が残る最初のエルサレム教会司教ヤコブと同一視されます。

ヤコブは英語ではJames