継続してトマスの福音書を訳し、解説しています。
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13節
*S a id-JS13 to-his-disciples this: " Compare-me, &-(you(pl))-13.2> -speak t o-me this- I -resemble whom?" > Said-he t o-him,viz-Simon-Peter, this: "You(sg)-resemble an-an-
13.3> -gel righteous." > Said-he t o-him, v iz-Mat-thew, this: "You(sg)-resemble a-man of-philoso-phy wise." > Said-he to-him, viz-Thomas,this: "Master, wholly my-mouth will-accept() not13.5> that-I-speak that you(sg)-resemble whom." > Said-JES1this: " I (am) your(sg)master not; because you-drank, you-got-drunkout of-the-spring which-bubbles, the-one I have()measured-her;" > And he -took-him, he-withdrew,13.7> he-spoke to-him three words. > When-Tho--mas, hwvr, came upto-his companions, they-asked-him this:13.8>
14節
Did-JS14 speak () what to-you(sg)? > Said-he to-them, viz--Thomas, this: If-I-should-- speak to-you(pl)one of-the-words he-has-spoken() to-me, you(pl)-will-take-stones &--( )
cast (them) at-me, and (will)(a)fire come -14.1* -out o f-the-stones, &(she-will)-burn y ou(pl).
13直訳
JS13 イエスは彼の弟子たちに言われた。「わたしを比べなさい。わたしがだれに似ているか、あなたたちは、わたしに言いなさい」。彼は、すなわちシモン・ペテロは言った。「あなたは義なる天使のようです」。彼は、すなわちマタイは言った。「あなたは賢い哲学者のようです」。彼は、すなわちトマスは言った。「師よ、わたしの口は、あなたがだれに似ているかを言うことは、まったくできません」。イエスは言った。「わたしは、あなたの師ではない。なぜなら、あなたは飲んだからだ。わたしに属し、わたしが計り分けた湧き出る泉であなたは酔っているからだ」。それから彼は彼を連れ、わきへ引き寄せ、三つの言葉を彼に語った。しかしながら仲間たちのところへトマスが戻ったとき、彼らは彼に尋ねた。
14直訳
JS14 「イエスはあなたに何と言ったのか」。彼すなわちトマスは、彼らにこう言った。「彼がわたしに語られた言葉のひとつをわたしがあなたがたに告げるべきならば、あなたがたは石を取って、わたしに投げるであろう。そして、その石から火が出てきて、あなたがたを焼くだろう」。
この箇所は、イエスがいったい誰なのかを弟子に問う箇所です。マタイ伝では、同じような個所があります。
マタイ伝16:13ー20
13さて、ピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、イエスは弟子たちに尋ねて言われた。「人々は人の子をだれだと言っていますか。」14 彼らは言った。「バプテスマのヨハネだと言う人もあり、エリヤだと言う人もあります。またほかの人たちはエレミヤだとか、また預言者のひとりだとも言っています。」15 イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」16 シモン・ペテロが答えて言った。「あなたは、生ける神の御子キリストです。」17 するとイエスは、彼に答えて言われた。「バルヨナ・シモン。あなたは幸いです。このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です。18 ではわたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。ハデスの門もそれには打ち勝てません。19 わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。」20 そのとき、イエスは、ご自分がキリストであることをだれにも言ってはならない、と弟子たちを戒められた。
マタイ伝では、ペテロが「いける神の御子キリスト」と正解しましたが、トマス福音書では、トマスがイエスに「師よ」と言ったことから話が中断しています。
イエスは、「先生」と呼ばれることを嫌いました。その理由が13節後半からわかります。
「わたしはあなたの師ではない。なぜなら、あなたは飲んだからだ。わたしに属し、わたしが計り分けた湧き出る泉であなたは酔っているからだ。」ここで出てくる泉は、明らかに聖典の福音書にある「生ける水」「命の泉」を指しています。これは聖霊のことだといわれます。つまり、聖霊を受けた(受けるはずの)トマスは、もはやイエスと師弟関係ではなく、「友」なのです。そして、トマスをわきに引き寄せて、聖霊を受けた者は、どのような者となるかを話してくれたのでしょう。それがあまりにも恵みにあふれたことであったので、他の弟子たちに語ると妬まれると思い、公表できなかったと推測できます。マタイ伝16:19で 「わたしは、あなたに天の御国のかぎをあげます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。」とペテロに言っていますが、年長者のペテロについては、弟子たちに聞こえるように話したと思われます。トマスについても、ペテロと同じような内容の話であったのかもしれません。ペテロだけに、このような権威を授けるのはおかしいとも思われます。もっともペテロが、カトリック教会の基礎になったことは確かです。
もうひとつ推測できるのが、共観福音書では、ペテロの告白のあとで、イエス自らこれから何が起こるか預言をしています。ペテロの告白がなされてから、イエスははじめて、❶自分がエルサレムにおいて、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、❷殺され、そして❸三日目によみがえらなければならないことを弟子たちに示し始めました。マタイ、マルコではそれぞれ3回くりかえされています。ルカは2回です。この❶~❸の3つの言葉を指しているのかもしれません。福音書からみると、こちらの可能性が高いでしょう。
13,14節を意訳してみます。
13意訳
JS13 イエスは弟子たちに言われた。「わたしを他の人と比べると、だれに似ていると思いますか。言ってみなさい」。シモン・ペテロは「あなたは義なる天使のようです」と言った。マタイは「あなたは賢い哲学者のようです」と言った。トマスは「師よ、わたしの口は、あなたがだれに似ているかなど言うのは、とてもできません」と言った。イエスは言った。「わたしは、あなたの師ではない。なぜなら、あなたは、わたしに属し、わたしが計り分けた湧き出る泉から飲んで、酔っているのだから、もう師弟の関係ではない」。それからイエスはトマスをわきへ引き寄せ、三つの言葉(❶エルサレムにおいて、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、❷殺され、❸三日目によみがえらなければならないこと)を語った。しかしながら仲間たちのところへトマスが戻ったとき、彼らはトマスに
14意訳
JS14 「イエスはあなたに何と言ったのか」と尋ねた。トマスは、彼らに「イエスがわたしに語られた言葉のひとつでもあなたがたに告げるなら、あなたがたは石をわたしに投げつけるであろう。そして、その石から火が出てきて、あなたがたを焼いてしまうだろう」と言った。